整形外科学的考察を行うブログ

Daily Orthopedics ~整形外科チャンネル~

整形外科専門医が執筆.日々の診療に役立つ知識をまとめています.

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専門知識まとめ

アスリートに必要なタンパク質摂取量について解説、結論として1日2g程度が推奨されます。

ハードなウエイトトレーニング、スポーツをする目的は何でしょうか。格好良くなるため、ビジネスのため、健康のためなど目的は様々だと思います。トレーニング時には回復を促すためにプロテイン(タンパク質)を摂取する方も多いと思いますが、腎機能が悪い…

稀ですが、手術の可能性もある下腿の痛みを呈する慢性労作性コンパートメント症候群とは

慢性労作性コンパートメント症候群という病気をご存知でしょうか。 それほど頻度は多くないものの、ランナーに多く、保存治療が有効であるものの、外科的治療の成績が良好な疾患です。 保存治療との比較について説明できるように解説しました。 今回の要約 …

方形回内筋の温存、修復は橈骨遠位端骨折の観血的整復固定術の際に有用か

橈骨遠位端骨折は、整形外科で観血的整復と内固定を必要とする最も一般的な上肢骨折の1つです。この10年間で、他の治療法に比べて固定性が良好で、合併症の発生率が低く、良好な機能成績をもたらす掌側プレート固定が普及しました。 方形回内筋は橈骨遠位端…

関節リウマチにおける手術部位感染リスクと休薬による再燃について

関節リウマチ患者さんにおける手術で問題となることが①術後感染症、②関節リウマチの再燃、③関節リウマチによる骨破壊、骨質不良があります。 この記事では術後の感染症、関節リウマチの再燃について解説していきます。 今回の要約 ・関節リウマチ患者では手…

変形性股関節症による変形性膝関節症の合併、Coxitis kneeについて

変形性股関節症の合併症の1つに変形性膝関節症があるのをご存知でしょうか。Coxitis kneeと言われており、股関節と膝関節の変形があるため、どちらから治療をするべきか迷う場合もあると思います。この記事ではcoxitis kneeの内容、どちらから治療をするべき…

ACR/AAHKS(アメリカリウマチ学会/股関節・膝関節学会)から発表された、最新の関節リウマチ薬(生物学的製剤、JAK阻害薬)の休薬ガイドライン2022年版のまとめ

関節リウマチ(RA)患者さんの手術で最も気を付けることは創傷治癒不全と感染症と思います。特に生物学的製剤(Bio)や最近使用されているJAK阻害薬では感染症のリスクが上がりますが、適切な休薬期間については、まだ研究途中であり、手術前の休薬期間も変…

足関節後果骨折の分類と治療適応について

この記事では足関節骨折で頻繁に遭遇する後果骨折の分類についてまとめています。 今回の要約 後果骨折で骨折部の面積が25%未満では保存治療が選択される場合が多いです。 後果骨折の分類はHaraguchi分類が汎用されており、アプローチの選択に有用です。 後…

腰痛患者さんの身体診察のまとめ

腰痛において骨折、感染、麻痺、骨転移などを見逃さないように、「レッドフラッグサイン」という用語は広く知られていると思います。 しかし、腰痛患者さんの診察は整形外科医以外には一般的ではないので診察方法に不安を感じる人は多いのではないでしょうか…

手の外傷の時のシーネ固定のやり方について

外傷全般に言えることですが、緊急性がなければシーネ固定をして「翌日に整形外科を受診」というのは救急の現場でよくあることと思います。 この記事では、手の外傷のときにお勧めする固定の角度について解説します。 今回の要約 MP関節屈曲で固定して伸展拘…

膝周囲骨切り術の目標数値62 or 57%??

・近年急速に普及している膝周囲骨切り術の中の高位脛骨骨切り術の目標値についてまとめます。 今回の要約 ・HTOでは術中のバリエーションを考慮して57%を目標値とする。 変形性膝関節症 高位脛骨骨切り術 Double level osteotomyの適応 半月板処置の重要性…

特発性大腿骨頭壊死の分類と分類に応じた治療方針について

・特発性大腿骨頭壊死症は厚生労働省により難病指定されている股関節の疾患です。 ・有名人では坂口憲二さん、千原ジュニアさん、堀ちえみさんなどが罹患したことで知られています。 ・この記事では診断基準と分類、治療について概説します。 今回の要約 ・…

ベーカー嚢腫とは、膝の裏の腫れ、治し方の1つステロイドについて解説

膝の裏が腫れる病気であるベーカー嚢腫について解説します。 今回の要約 ・膝関節の裏側に液体が貯留する疾患です ・無症状では経過観察ですが、注射、手術の方針もあります ベーカー嚢腫とは 検査 治療 質問事項のまとめ 冷やした方がよいか 何科を受診すれ…

【整形外科医が教える】手指の痛み、変形の原因と治療

この記事では、手の指の痛みの原因と対処法についてまとめています。 今回の要約 ・指の関節の変形はへバーデン結節、ブシャール結節があります・関節リウマチの場合もあるので医師の診察をうけましょう ・治療は内服、サプリメント、手術があります へバー…

脊髄損傷患者の予後予測

脊髄損傷の原因と病態 ・脊椎の脱臼や骨折による脊髄の圧迫により生じます.・頚椎では,もともと脊柱管が狭くなっている人や頚椎後縦靭帯骨化症,頚椎症などで脊髄の圧迫が存在している人が転倒などによって衝撃が加わることで脊髄損傷が生じることがありま…

人工骨頭置換術 −セメント,セメントレスステムの比較−

死亡率 BCISとは 骨折 肺塞栓 ゆるみ(loosening) 手術時間 まとめ 2022年5月6日 大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術は2021年のガイドラインにおいてセメント使用が推奨されることが明文化されました. (推奨度2,合意率73.3%,エビデンスの強さB) セ…

手根不安定症 −VISI,DISIとは,整形外科専門医試験にもでます!−

【手根関節の機能】 【手根不安定症とは】 【VISI,DISIとは】 【Cortical ring signとは】 この記事の要約 VISIは月状骨が掌屈(Volar)位となり,レントゲンでは近位手根列アーチの乱れが特徴. DISIは月状骨が背屈(Dorsal)位となりレントゲンではCortic…

爪下血腫,爪下出血斑とは,治療方法とその適応

" data-en-clipboard="true"> 爪下血腫とは 爪下出血斑とは するべきこと ドレナージの適応 ドレナージの方法 ドレナージ後の処置 ドレナージ後の説明 爪下血腫で血腫が少量の場合 " id="爪下血腫とは">爪下血腫とは " data-en-clipboard="true"> ・圧挫傷で…

人工膝関節全置換術の適応,禁忌とは?−化膿性膝関節炎の既往があっても行ってよい?−

" data-en-clipboard="true"> はじめに TKAの適応 TKAの禁忌 絶対的禁忌 相対的禁忌 " id="はじめに">はじめに " data-en-clipboard="true">人工膝関節全置換術(TKA)の適応疾患と禁忌症例について解説しています. " data-en-clipboard="true">一般的に化…

胸腰椎レントゲン写真のみかた−特に腰椎圧迫骨折について−

脊椎の名称 胸椎単純X線写真 three column theory 圧迫骨折の画像診断 単純X線写真 椎体骨折評価基準 ー定量的評価法(Quantitative Measurement: QM法) ー半定量的評価法(Semiquantitative Method: SQ法) CT,MRI 脊椎の名称 ・7個の頚椎,12個の胸椎,5…

頻繁に遭遇する重複骨折部位ついて.

外傷患者でレントゲン撮影をした際に,1つの骨折部位をみつけて他の部位の骨折に気づかないことは整形外科医においてもありますし,非整形外科医にとっては悩ましい問題と思います. 骨折のあり/なしの他に骨折の部位,名前のほかに,重複骨折の有無について…

【ALS人工骨頭】についてのまとめ 〜特にTHAとの違い〜

https://resident360.nejm.org/from-pages-to-practice/total-hip-arthroplasty-or-hemiarthroplasty-for-hip-fracture 1.皮切 2.展開 3.関節包切開 4.まとめ MIS-THAの普及により大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭についてもMISが普及しています. 一般的…

上腕骨近位端骨折へのリバース型人工肩関節置換術の実施医基準アップデート

2021年10月1日 リバース型人工肩関節全置換術とは 1.実施医基準としての経験手術と症例数 2.実施医基準としての研修内容 3.上腕骨近位部骨折に対する本術式の適応基準 4.症例登録と成績の解析,日本整形外科学会への報告 まとめ リバース型人工肩関節全…

凍結肩,五十肩,肩関節周囲炎の由来,凍結肩の治療方法について.

2022年12月21日 1.五十肩 2.肩関節周囲炎 3.凍結肩(Frozen shoulder) 由来 原因 疫学 経過 治療 1.五十肩 太田全斎という福山藩の漢学者が編纂した俗語集「俚言集覧」の中に以下のような五十肩の記載があり,それが由来とされます. 「五十腕 凡人五十…

Crowe分類 〜発育性股関節形成不全の分類,実際の測定方法についてご紹介〜

(https://www.pinterest.jp/pin/479492691604430416/) 2021年6月4日 発育成股関節形成不全(DDH)とは Crowe分類とは Crowe分類の計測方法 まとめ 発育成股関節形成不全(DDH)とは DDHとは,Developmental Dysplasia of the Hipの略称です. 出生時に既に股…

整形外科の専門分野・各種学会のまとめ

整形外科の専門分野・各種学会のまとめ 2020年5月6日 日本整形外科学会では整形外科について下記のように説明されています。 運動器官を構成するすべての組織、つまり骨、軟骨、筋、靭帯、神経などの疾病・外傷を対象とし、その病態の解明と治療法の開発およ…

TKAでの後顆骨切り、コンポーネントと膝屈曲についての関係についてまとめ。

TKAでは大腿骨、脛骨側の骨切りがあります。 大腿骨側では術前作図の外反角度、回旋角度を決定すれば、ほぼ機械的に骨切りを行うことが可能です。 しかし脛骨側では関節面や脛骨の弯曲など変形が高度な症例や、逆に変形が少ない症例もあり、骨切り量について…

あなたが患者になったとき,医者とスムーズに方針決定するために知っておくべきこと.

医者の判断基準 1.客観的なデータ 2.経験 3.患者さんの状態 合理的で確実な治療の選択 患者さんの判断基準 行動経済学とは 行動経済学における重要な概念 1.行動経済学的特性 プロスペクト理論 ①損失回避 ②現在バイアス ③社会的選好 2.限定合理性 ①サン…

人工股関節周囲感染のストラテジー

大げさなタイトルですが,人工股関節周囲感染への一期的置換か二期的置換かの判断基準となるスコアリングシステムについての紹介です 人工関節周囲感染対策における国際コンセンサス. -International Consensus on Periprosthetic Joint Infecton- において…

THA(人工股関節全置換術)の作図,術前計画のポイント

人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は整形外科手術において最も成功した手術の1つと言われており、高い患者満足度、長期成績を達成しています。 しかし、脱臼や骨折、脚長差など注意するべきことが多い手術の1つでもあります。今回はTHAの手…

脆弱性骨盤骨折 −Rommens分類,出血合併症,ADL,死亡率についてのまとめ− 恥骨上枝骨折の分類であるNakatani分類について

(created by DALL·E) 今回の要約 ・脆弱性骨盤骨折は増加傾向であり、特に仙骨骨折の診断は難しい場合があります。 ・治療方針の決定にはFFP分類や恥骨上枝ではNakatani分類が有用です。 脆弱性骨盤骨折(FFP)とは Rommens分類 治療 FFP治療での注意事項 出…