外傷全般に言えることですが、緊急性がなければシーネ固定をして「翌日に整形外科を受診」というのは救急の現場でよくあることと思います。
この記事では、手の外傷のときにお勧めする固定の角度について解説します。
今回の要約
MP関節屈曲で固定して伸展拘縮をつくらないようにする
手の外傷の固定について
指は多数の腱が複雑に関与しているので、誤った固定を長期に行うと、容易に拘縮をつくり、機能障害を残してしまいます。
適切な固定角度での固定と早期の運動療法によって、癒着を防止し、MP関節の伸展位拘縮をつくらないようにすることが重要です。
指の基節骨骨折や中手骨骨折に対してはMP関節屈曲位での固定が必要です(図参照)
・理想的にはナックルキャストというギプス固定が必要ですが、救急外来などで応急処置として行う場合はこのように背側からシーネをあてて固定するようにしましょう。
MP関節屈曲位とする理由
・指のMP関節の側副靱帯は中手骨のやや背側から基節骨基部掌側面に向かって走行しています。そのため指の伸展時には緩み、屈曲時には緊張しています。外傷で伸展した状態で長期に固定してしまうと、側副靱帯が緩んだ位置のまま短縮してしまい、その結果、緊張が強くなってしまい、屈曲することができなくなってしまいます。
・アルフェンスシーネを使ったシーネ固定の方法、ナックルキャストのギプス固定のやり方は小田明彦さんの動画が参考になりました。
・また指の骨折の際にはクロスフィンガーという指の回旋変形が生じていないか確認することが必要です。レントゲンの見方、クロスフィンガーの判定方法はこちらの記事も参照ください。