【構造】
・橈骨,尺骨,8個の手根骨,5本の中手骨,末節骨,中節骨,基節骨から構成されます.
・手関節は骨,関節,靭帯,三角線維軟骨複合体(TFCC)より構成され,血管,神経,筋肉,腱が入り組んでいます.
・関節:橈骨手根関節,遠位橈尺関節,尺骨手根関節,手根中央関節,手根骨間関節,手根中央関節が含まれます.
【単純X線写真】
・正面像
・手根骨の配列,尺骨の突き上げ,骨折線の有無,石灰化,骨化の有無を確認します.
・読影はABCD,すなわちA:アライメント,B:骨(Bone),C:軟骨(Cartilage),D:分布(Distribution)を意識します.
・Distributionとは関節リウマチなどにおいて,罹患関節,骨の分布を把握することとされます.
・側面写真
・外傷では橈骨遠位端,舟状骨,月状骨周囲脱臼の有無などを確認します.
【橈骨遠位端骨折】
・上肢骨折の中で最も頻度の高い骨折であり,高エネルギー外傷や,骨粗鬆症患者に転倒などの軽微な外傷で生じることが多いです.
・受傷機転によりColles骨折,Smith骨折などの様々な呼び名があります.
・頻度の高いColles骨折では図のように,側面像にて遠位骨片の背屈転位がみられます.
・正面像ではradial inclinationの減少,Ulnar variance(橈骨短縮による尺骨が相対的に長くなる場合が多いです),側面像ではPalmar tiltの変化を記載します.
(https://www.pinterest.jp/pin/168603579785635345/を改変)
【舟状骨骨折】
・手根骨の中枢と末梢列の間にあり,手関節を背屈強制させられたときに剪断力が加わり生じます.
・血行が悪いため癒合しにくい場合が多く,偽関節を呈することがあります.またX線写真で判別しにくいこともあり見逃し症例も散見されます.
・
(https://www.pinterest.jp/pin/461759768051573142/)
・レントゲン写真では通常の正面,側面像に加えて斜位像(45度回内),尺屈しての撮影が判別に有効です
・正面像で判断可能な症例画像を添付します.
・分類にはHerbert分類が頻用されます.
【手根骨】
・手根骨の確認においては各骨の皮質骨のラインを確認して不整がないか、またGilula carpal archsという手根骨のアーチの乱れがないかを確認します。
・アーチの乱れがある場合には手根骨の脱臼が疑われます。
・手根骨の関節
手根中央関節:有頭骨と有鉤骨が近位手根列にはまり込む構造になっており骨性支持が強い構造です。
橈骨手根関節:橈骨遠位関節面の掌尺側への傾斜による手根骨の滑りを靭帯が主に制動しています。
遠位橈尺関節:橈骨の尺骨切痕と尺骨頭により形成され,前腕回内外に関与します。