凍結肩,五十肩,肩関節周囲炎の由来,凍結肩の治療方法について.
2022年12月21日
1.五十肩
2.肩関節周囲炎
3.凍結肩(Frozen shoulder)
由来
1934年Codmanが筋攣縮や肩甲上腕関節の拘縮を起こしている状態をFrozen shoulderと命名し,その日本語訳として凍結肩という用語が用いられるようになりました.
症状:肩関節の可動域制限と疼痛があり,他動でも可動域が制限されていることが肩関節周囲炎との違いとされます.
原因
疫学
経過
Frozen phase:拘縮が完成し,肩甲上腕関節はほとんど動きません.疼痛は軽減傾向で肩甲帯の動きで見かけの挙上や内外旋運動を行います.
Recovery phase:拘縮や疼痛が軽快していく段階です.
3つの病期で全病期で1〜3年程度とされています.
しかし,7年の経過観察で62例中31例50%に痛みや可動域制限が残存していたとされます(Shaffer B, JBJS 1992).
Systematic reviewでは,機能の改善は示すが,正常可動域には戻っていないこと,発症後3ヶ月までに速やかに改善し,その後緩徐に回復することが示されています(Wong CK, Physiotherapy 2016).
つまり未治療患者がrecovery phaseを介して完全回復に至るエビデンスは乏しいこと,凍結肩の回復の大部分は病初期に生じると結論されています.
よって保存療法を施行し,3ヶ月以上症状の改善しない症例に次のステップの治療をすることは妥当な判断と考えられています.
治療
freezing phaseでの治療は患者教育,NSAIDs,ステロイドの関節内注射.
placeboと比較してステロイド関節内注射,レーザー治療はstrong evidenceがあります(Favejee MM, Br J Sports Med. 2011).
ステロイド注射は関節内,SAB注とで6ヶ月後に有意差はありませんでした(Yoon JP, J shoulder Elbow Surg. 2016).
徒手整復
41ヶ月の観察で
非糖尿病は15%が再発
糖尿病群 36%が再発(Jenkins EF, J Shoulder Elbow Surg. 2012)
関節鏡視下関節包解離術
痛みが軽度になるのに12週かかるが,拘縮の再発はないと言われている.しかし糖尿病合併ではやはり成績が劣るとされます.