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凍結肩,五十肩,肩関節周囲炎の由来,凍結肩の治療方法について.

Massage, Shoulder, Relaxing Massage

2022年12月21日

1.五十肩

 太田全斎という福山藩の漢学者が編纂した俗語集「俚言集覧」の中に以下のような五十肩の記載があり,それが由来とされます.
 「五十腕 凡人五十歳ばかりの時手腕骨節の痛む事あり 程過ぎれば訳せずして癒えるものなり俗これを五十腕とも五十肩ともいふ又長名病ともいふ」
 肩関節痛が50台の壮年期の方に多いため病名として一般的に認知されていますが,現在は総称であり,医療者の間で使われることはあまりありません.
 しかし,患者さんへの説明として簡易的に使用することはありますので,注意する必要があります.

2.肩関節周囲炎

 1872年Duplayらにより提唱した疾患概念です.
こちらも総称であり,画像診断が発達した現在ではその他の疾患と区別されるようになっています.

3.凍結肩(Frozen shoulder)

由来

1934年Codmanが筋攣縮や肩甲上腕関節の拘縮を起こしている状態をFrozen shoulderと命名し,その日本語訳として凍結肩という用語が用いられるようになりました.

ISAKOSでははFrozen shoulderを原因不明の特発性の肩関節拘縮と定義し,要因として,糖尿病,甲状腺疾患,Dupuytren拘縮,喫煙の関与を指摘しています.

症状:肩関節の可動域制限と疼痛があり,他動でも可動域が制限されていることが肩関節周囲炎との違いとされます.

原因

現在でも明らかな原因は不明とされています.

疫学

2-5%程度の方に発症します.糖尿病患者では20%程度.女性,非利き手側,糖尿病患者に多くみられます.

経過

Freezing phase:強い運動時痛,あらゆる方向への可動域制限,疼痛による筋性防御的要素が強く,真の拘縮は存在しないとされ,夜間痛が強い時期でもあります.
Frozen phase:拘縮が完成し,肩甲上腕関節はほとんど動きません.疼痛は軽減傾向で肩甲帯の動きで見かけの挙上や内外旋運動を行います.
Recovery phase:拘縮や疼痛が軽快していく段階です.

3つの病期で全病期で1〜3年程度とされています.

しかし,7年の経過観察で62例中31例50%に痛みや可動域制限が残存していたとされます(Shaffer B, JBJS 1992).
Systematic reviewでは,機能の改善は示すが,正常可動域には戻っていないこと,発症後3ヶ月までに速やかに改善し,その後緩徐に回復することが示されています(Wong CK, Physiotherapy 2016).

つまり未治療患者がrecovery phaseを介して完全回復に至るエビデンスは乏しいこと,凍結肩の回復の大部分は病初期に生じると結論されています.
よって保存療法を施行し,3ヶ月以上症状の改善しない症例に次のステップの治療をすることは妥当な判断と考えられています.

治療

freezing phaseでの治療は患者教育,NSAIDs,ステロイドの関節内注射.
placeboと比較してステロイド関節内注射,レーザー治療はstrong evidenceがあります(Favejee MM, Br J Sports Med. 2011).
ステロイド注射は関節内,SAB注とで6ヶ月後に有意差はありませんでした(Yoon JP, J shoulder Elbow Surg. 2016).

徒手整復
 41ヶ月の観察で
 非糖尿病は15%が再発
 糖尿病群 36%が再発(Jenkins EF, J Shoulder Elbow Surg. 2012)
関節鏡視下関節包解離術
 痛みが軽度になるのに12週かかるが,拘縮の再発はないと言われている.しかし糖尿病合併ではやはり成績が劣るとされます.