大げさなタイトルですが,人工股関節周囲感染への一期的置換か二期的置換かの判断基準となるスコアリングシステムについての紹介です
人工関節周囲感染対策における国際コンセンサス.
-International Consensus on Periprosthetic Joint Infecton-
において
一期的置換術の適応と禁忌
適応:薬剤感受性のある抗菌薬が存在する人工関節周囲感染(以下PJI)患者には適切である.
一方,全身の感染症状(敗血症)があり,切除関節形成術や汚染微生物減少が必要と考えられる患者には適さない.
相対的禁忌:術前に原因菌が同定できないこと,瘻孔の存在,組織片の被覆を必要とする重度の軟部組織病変が存在する場合
二期的人工関節再置換術の適応
二期的再置換術は,PJIの治療に適切な選択肢である.
一期的再置換術よりも二期的再置換術が適する状態
1.全身の感染症状(敗血症)のある患者
2.感染は明らかだが,原因菌が同定できない場合
3.術前培養により原因菌の治療が困難で耐性菌であると判明した場合
4.瘻孔が存在する場合
5.周囲軟部組織の状態が不良で被覆が困難な場合
二期的再置換術の最適な待機期間は,文献では明確なエビデンスがない.報告により2週間から数ヶ月までばらつきがある.
治療選択のスコアリング
人工股関節周囲感染における一期的or二期的再置換術についての選択基準について
関西医科大学のスコアリングシステムがpublishされています.
Free paperなので閲覧が可能です.
・術前の全身状態
Poor(ASA>3),Moderate,Good
・感染期間,過去の手術回数
過去手術2回以上,晩期感染,早期感染
・創部合併症
瘻孔・膿瘍,発赤や熱間,損傷なし
・原因菌
メチシリン耐性菌やグラム陰性菌,不明,抗菌薬感受性の最近
・CRP
>5mg/dL,0.5−5 mg/dL,0.5 mg/dL未満(本邦のCRP単位はmg/dLが多い)
・再建時骨移植の必要性
不要,必要
上記6項目でスコアリング
9−12点 一期的再置換
5−8点 二期的再置換
4点未満では高率に再燃と報告しています.
治療においての参考になれば幸いです.