TKAでは大腿骨、脛骨側の骨切りがあります。
大腿骨側では術前作図の外反角度、回旋角度を決定すれば、ほぼ機械的に骨切りを行うことが可能です。
しかし脛骨側では関節面や脛骨の弯曲など変形が高度な症例や、逆に変形が少ない症例もあり、骨切り量については一貫した方針がない印象を受けます。
大腿骨後顆の骨切りは特に屈曲ギャップにおいて重要であり、後顆の骨切り量が適正でなければコンポーネントでの調整や補強を要することにもなり、慎重な対応が必要です。
また後顆部分の厚み(後顆のオフセット)の増加は深屈曲時のコンポーネントへの負担や、可動域の低減などに影響するとも言われています。
PS型TKAについて後顆の増大が可動域に影響あるか調べてみました。
・2007年のJBJS Brの本論文では後顆オフセットと屈曲角に影響はなし。
・2010年、The kneeの本論文では後顆オフセットや脛骨後傾は屈曲角に影響なく、術前可動域が術後可動域に影響する因子としていました。
https://www.thekneejournal.com/article/S0968-0160(09)00211-7/fulltext
・2013年のCORRの論文でも後顆オフセットと屈曲角は関係なし
・2018年のThe kneeの論文では内側後顆オフセットと脛骨後傾きは屈曲角に影響する可能性があるとの結果でした。
まとめ
幾つか論文をピックアップしてみましたが、現時点では後顆が屈曲角に影響するというコンセンサスは得られていないようです。