更新2021年11月13日
TKAに必要な画像情報
- 単純X線写真
1.立位正面
・Kellgren-Lawrence分類などを使用して病期判定を行います.
・大腿骨,脛骨軸を作図し,コンポーネントのサイズ決定,予定骨切り量を確認します.
2.立位側面
・骨棘,予定コンポーネントサイズを作図します.
3.軸写
4.ローゼンバーグ撮影 45°屈曲立位PA撮影
5.上顆軸撮影 大腿骨遠位端の解剖学構造や屈曲ギャップが描出できるとされます.
Axial Radiography of the Distal Femur to Assess Rotational A... : Clinical Orthopaedics and Related Research®
6.下肢立位長尺
- ストレス撮影
- CT
- MRI
大腿骨骨切りに必要な骨軸
・sulcus axis
・mechanical axis
・anatomic axis
などを測定します.
冠状面アライメント
・大腿骨側の骨切りにおける最初の基準は、髄内ロッドによる手法が一般的です.髄内ロッド刺入方向と,刺入部をチェックします.
・大腿骨遠位部の中心(内上顆と外上顆の中点と大腿骨の骨頭中心を結ぶ線)、髄内ロッドとのなす角を記載します.この角度が髄内ロッド法において大腿骨遠位端の骨切りを決定する最も重要な指標となります.
・コンポーネントは側面像で前後径の適合性が良好なもの、正面写真で過大とならないものを選択します.
・大腿骨遠位端骨切りは大腿骨頭の同定が難しいため,最も誤差が生じやすいステップとされます.
回旋アライメント
・Transepicondylar axis:上顆軸内・外上顆を結んだ大腿骨通顆線.膝関節の屈伸の回転軸の一つとして,内外側側副靭帯の起始部を結んだ線であり,術中に触知しやすいものとして,SEA,CEAがあります.
PCA :posterior condylar axis(Posterio condylar line);後顆軸,大腿骨コンポーネントの回旋の指標となります.
SEA :surgical transepicondylar axis: 外上顆の頂点と,内上顆のsulcus(MCL深層の起始部)を結ぶ線であり.通常CEAから3°内旋しています.
CEA :clinical transepicondylar axis:内側上顆と外側上顆を結んだ線.
Measured resection techniqueにおいてはSEAに平行にインプラントを挿入しますが,術中に内側のSlucus(SEAの内側の指標)を触知するのが困難です.
そのためCT像からPCA (posterior condylar axis),SEA (surgical epicondylar axis)、CEA (clinical epicondylar axis),,AP axisを測定しておき,PCAとSEAとのなす角度を計測しておくと,設置位置の誤差が少なくなります.
回旋アライメントは膝蓋骨のトラッキング,屈曲位での下肢アライメント,屈曲位での靭帯バランスなどに影響を及ぼします.
AP軸 anteroposterior axis,Whiteside line:大腿骨滑車溝と顆間窩の中心を結んだ線を結んだ線で大腿骨回旋軸に直行すると考えられています.大腿骨顆部の変形が強い症例では後顆軸は指標とならないのでWhiteside lineを目安にこれと垂直になるように回旋を決定します.
Measured resection法では機能軸に垂直に骨切りすることが基本であり,PCAを基準として約3°外旋が推奨されています.(術中確認が容易で,ジグも簡便で再現性が高く,3−4°外旋で90°で骨切りした脛骨近位部と垂直になるため)
そのため医師によっては一律3°外旋して骨切りという方もいらっしゃいます.
ただ,実際の角度については個々の症例に応じて角度を計測して設定しておく必要があると思います.
こちらもご参照ください.
TKAにおける脛骨側アライメントの指標となるAkagi lineについてまとめています.
TKAにおける脛骨側アライメントとして内外反アライメントについてまとめています.