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Daily Orthopedics ~整形外科チャンネル~

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特発性大腿骨頭壊死の分類と分類に応じた治療方針について

・特発性大腿骨頭壊死症は厚生労働省により難病指定されている股関節の疾患です。

・有名人では坂口憲二さん、千原ジュニアさん、堀ちえみさんなどが罹患したことで知られています。

・この記事では診断基準と分類、治療について概説します。

 

今回の要約

大腿骨頭壊死ではType、Stageを分類しましょう。

・TypeB以上では手術を検討します。術後健常域が34%以上となるように計画します。

大腿骨頭壊死とは

大腿骨頭壊死とは、大腿骨頭の非外傷性、無菌性、阻血性の壊死をいいます。

・特発性ですが、リスクとしてステロイド投与・アルコール多飲があります。

・骨壊死による急性の症状は疼痛ですが、痛みが軽度な症例も多く、壊死により骨組織が破壊され陥没を生じると、疼痛、関節可動域制限などの症状が発症します。

・単純X線で大腿骨頭の壊死、陥没の程度を、MRIで壊死病変の範囲を判定します。

・手術療法としては骨頭温存手術―骨切り術あるいは人工物置換手術が行われます。

・保存療法は両松葉杖使用です。わずかな圧潰あるいは骨梁骨折に伴う疼痛の回避のためであり、2~3カ月を目安に手術治療の必要性を再評価します。以下でそれぞれについて概説します。

特発性大腿骨頭壊死の診断基準

・診断基準を示します。

・原則として1、2は関節裂隙狭小化がないこと、臼蓋には異常所見がないことが必要です。

・診断基準は1〜4は骨頭壊死の修復反応をみています。

壊死範囲による分類

・Type分類で病型を分類でStageで進行度を分類します。

・臼蓋荷重面は図のW'-W(臼蓋縁と涙後下端を結ぶ線の垂直二頭分線が臼蓋と交差した点より外側)を3分割して判定します。

・荷重部健常域の測定方法

(Daily Orthopeicsの記事より転用)

・圧壊の予後予測は記載の通りです。

 
Type A
Type B
Type C–1
Type C–2
圧壊予測
0%
0–29%
13–26%
50–86%

(Sugano N et al. J Orthop Sci 7(5): 601–605. 2002)

(特発性大体骨頭壊死診療ガイドライン2019)

保存治療の適応

・TypeA、TypeBでは疼痛が消失するまで両松葉杖歩行を行います。
・TypeBの一部、TypeC–1、TypeC–2では圧壊率が高く手術治療を検討します。手術方法が決定されるまで両松葉杖歩行を指示します。Stage4では関節症性変化が生じてしまっているため人工関節置換術を検討します。

手術治療の内容と選択

・大きく骨頭温存する骨切り術と人工関節手術の2つがあります。

・骨切り術は多数あり

ー大腿骨頭前方回転骨切り術

ー大腿骨頭後方回転骨切り術

ー大腿骨頭高度後方回転骨切り術

ー大腿骨内反骨切り術

などがあります。

いずれも健常領域が荷重面となるように骨切りをします。

・ポイントとして術後荷重部健常領域が34%以上となるように術式を選択すること

・脚短縮を生じないように注意することがあります。

 

tm-ortho.hatenablog.com

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