脊椎の名称
・7個の頚椎,12個の胸椎,5個の腰椎,仙骨で構成されています.
・胸腰椎は力学的に安定した胸郭と可動性の大きな腰椎の境に位置するため,応力が集中しやすく脊椎損傷が好発します.
・高エネルギー外傷では胸腰椎,骨盤に骨折を生じることがあります.
・高齢者の骨粗鬆症による脆弱性骨折では「いつのまにか骨折」,「圧迫骨折」を生じることがあり,下位胸椎,腰椎が好発部位です.
(https://radiopaedia.org/articles/lumbar-spine?lang=us)
胸椎単純X線写真
・健常者の胸椎単純X線写真側面像です.
・椎体,椎間板,椎弓,椎間関節が描出できます.
(Thoracic spine series | Radiology Reference Article | Radiopaedia.org)
three column theory
・Denisは脊柱を前支柱(anterior column),中支柱(middle column),後支柱(posterior column)の3つに分け,特に中央柱(middle column)損傷が神経症状や不安定性を左右すると提唱しました.
・高齢者の圧迫骨折は主に前支柱の損傷で,中央柱の損傷は破裂骨折と呼称されます.
・さらに後支柱まで損傷が及んだ際には,チャンス骨折などと呼称され高度の不安定性をきたします.
(https://radiopaedia.org/articles/three-column-concept-of-spinal-fractures)
圧迫骨折の画像診断
・陳旧性圧迫骨折と新鮮骨折の画像診断はしばしば難渋します.
・陳旧性は楔状椎,魚椎といった特徴的な形態を示します.
・新鮮骨折は椎体前壁の不整像(anterior step defectと図では示されています.)や海綿骨の圧縮による骨梁構造の破綻や濃縮像を認めます.
・新鮮骨折では不安定性のために座位では椎体高が減少するため,仰臥位と座位の側面像を撮影すると診断に有用なことがあります.
https://radiopaedia.org/cases/spinal-compression-fracture-acute-vs-old?lang=us
単純X線写真
楔状椎,魚椎,扁平椎は日本骨代謝学会が発行している椎体骨折評価基準において以下のように定義されています.
(http://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/t-guideline.pdf)
椎体骨折評価基準
ー定量的評価法(Quantitative Measurement: QM法)
ー半定量的評価法(Semiquantitative Method: SQ法)
椎体高,椎体面積を元に判定します.Grade1以上にあてはまる場合を椎体骨折pと判定します.
Grade1: 椎体高20–25%低下 and/or 椎体面積10–20%減少
Grade2: 椎体高25–40%低下 and/or 椎体面積20–40%減少
Grade3: 椎体高40%以上低下 and/or 椎体面積 40%以上減少
(Genant HK, et al. J Bone Miner Res 1993;8(9):1137-48.)
CT,MRI
・脊椎に圧迫骨折が見られる場合,転移性腫瘍などによる病的骨折との鑑別が問題になります.
・鑑別のポイントは表のようになります.
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非腫瘍性
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腫瘍性
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CT
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骨破壊なし
硬膜外または傍脊椎腫瘤なし
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骨破壊あり
硬膜外または傍脊椎腫瘤あり
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骨髄浮腫
椎体終板付近の線状低信号
椎体後面の尖った突出
拡散強調像で低信号
dynamic studyの緩徐な造影効果
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びまん性の椎体異常信号
硬膜外または傍脊椎腫瘤
椎体後面の丸みのある膨隆
拡散強調像で高信号
dyamic studyの急速な造影効果
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