頚部の石灰化病変:項靭帯石灰化症,バルソニーについてのまとめ
頚部の靭帯について
・頚部の靭帯には椎体全面に付着する前縦靭帯、後面に付着する後縦靭帯、その他に黄色靭帯,棘間靭帯,項靭帯などがあります。
・一般的に石灰化は加齢による退行性変化が要因であることが多く、これらの靭帯全てに石灰化を生じることがあります。
・そのうち後縦靭帯骨化症は難病指定されており、手術適応となることも多い疾患です。
バルソニーとは
・頚部側面X線写真で偶然に発見される項靭帯の無症候性の石灰化/骨化です(1)。
・これまでの文献では、バルソニーと頚椎症との相関が報告されています。
・また頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)との関連が報告されているものもあります。
・中年以降の男性や透析患者に多いとの報告(2)や、外傷、頚椎靭帯の慢性的な過負荷、年齢、全身状態なども誘因と報告されています(1)。
バルソニーの由来は?
・1929年にBarsonyが初めて報告したことが名前の由来と考えられます(3)。
・日本人では10.2%~27.6%、アメリカ人では6.1%、ドイツ人では4.5%と報告されています。
バルソニーの原因は?
・アジア人における脊椎靭帯骨化症の発症率は、白人より高く、外傷、頚椎靭帯の慢性的な過負荷、年齢、全身状態が関与すると考えられています。
・機序として頚椎に外傷や過負荷が加わると靭帯に微細な損傷が起こり、骨化を引き起こすと考えられています。しかし病的な意義なども含めて詳細は以前として未解明です。
【参考文献、画像出典元】
2. http://www.teramoto.or.jp/teramoto_hp/kousin/sinryou/gazoushindan/case/case56/index.html
3. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0949265818302331