【構造】
・踵骨は足根骨最大の骨で皮質骨が薄く海綿骨が豊富です.
・内側の載距突起は内果より1横指ほど下方で体表から触知可能です.
・載距突起は三角靭帯,踵舟靭帯が付着し下方を長母趾屈筋腱が走行します.
・内側深層には後脛骨動脈や脛骨神経,後脛骨筋腱,長趾屈筋腱,長母趾屈筋腱が走行します.
・外側は腓骨筋腱が踵骨外壁を通過します.また捻挫で損傷することがある踵腓靭帯が踵骨外側に停止します.・外側皮下には腓腹神経が走行します.
・後方の踵骨隆起にはアキレス腱が付着します.
・底側には足底腱膜が付着し,windlass mechanismを形成する重要な役割を果たします
.・踵骨直下には足底脂肪組織が存在し,歩行時の圧力を広い部位に均等に分散させ,衝撃吸収に働きます.
・関節面.距骨とは前・中・後距踵関節という3つの関節面をもち,そのうち後距踵関節が最大面積を有します.
【単純X線写真】
−側面像
・骨の配列,骨折線の有無,石灰化,骨化の有無を確認します.
・読影はABC,すなわちA:アライメント,B:骨(Bone),C:軟骨(Cartilage)に準じて確認していきます.
-ベーラー角
・踵骨隆起上縁から踵骨後関節面に引いた接線と,踵骨前方突起の頂点と踵骨後関節面の頂点を結ぶ線とによって作られる角度です.
・足部側面像,フィルムを外側におき撮影します.
・踵骨骨折における転位の程度,整復の程度の評価に用い,20−40°が正常範囲とされます.
・角度が減少している場合には,骨折部の転位があるといえる.
−軸位像
・踵骨骨折は一般的に外側壁の膨隆をきたし,載距突起が転位するような骨折型はまれです.
・軸位像では後距踵関節の適合性,外側壁の膨隆,踵骨体部の内反の程度を把握します.
−アントンセン像
・中,後距踵関節面を撮影することができます.
・一般的に後距踵関節の陥没を伴っているため,術中,術後に撮影することで整復位の判定を行うことができます.