2018年8月30日
2018年横浜開催のAOTraumaコースを受講してきました.
AOって何って方はこちらのサイト
AOTraumaコースの開催状況はこちらを参照してください.
http://trauma.aojapan.jp/index.php?option=com_content&task=view&id=15
受講に迷っている方用にコース内容をまとめました.
AOとは
AO Courseとは、骨折治療の基礎、臨床的研究グループであり、スイスに本部を置く非営利団体、AO Foundationが開催する医師・獣医師・看護師を対象とした、骨接合法に関する教育活動です。
全身の骨は多岐に渡りますし,1つとして同じ骨折はないと言っていいほど色々な種類があります.
昔は外科医が様々な治療をしていました.
それを分類して,治療原則,方法を確立したのがAOグループというわけです.
内容
基本的に各コースは3日間以上開催され、50~100人の受講者を受付けます。プログラムは下記構成で開催されております。
1. Lecture (15~20分毎の専門別講義で構成)
2. Practical Exercise (ボーンモデルを使用した、各AOシステムの実技実習)
3. Case Discussion (実際の症例に対しての質疑応答及び検討会)
- 他に開催される専門コースによっては、下記特別講習などもございます。
・Cadaveric Workshop(解剖実習)
・Live Surgery
- 世界各国で、多様なAO Courseが開催されております。
基本的に講習会は座学が多いのですが,ハンズオン(Practical Exercise)とディスカッションが多く設けられているのがAOコースの特徴です.
受講資格とそれ以降のコースについて
受講条件は医師4年目以降.整形外科に限りません.(ほぼ全員整形外科と思いますが)
費用は8万円でした
そしてBasicコースを終了したあとはAdvancedコースや各分野に特化したSpecialtyコース,Masterコースなるものがあります.
この図みていてワクワクしませんか.
見習いだった者が戦士,僧侶へクラスチェンジしてパラディンや賢者へと進化していくような,,自分をレベルアップさせているみたいで自分は最後までいったろ.と思いました.
3日間のスケジュールで講義は1つ15−20分のショートタイプ
ハンズオンは1/3円プレート,テンションバンドワイヤリング
あとはSynthes社の器械を用いた骨接合と創外固定
骨盤骨折の創外固定以外は1年整形外科をやっていれば経験している内容だと思います.
ディスカッションが種類によりますが,経験したことがない症例があたると,答えにつまりますが,指導者がやさしく誘導してくれるので問題ないと思います.
1日目
- AO法骨折治療の歴史の紹介
- 受傷起点と患者因子による骨折マネジメントの影響
- 軟部組織の扱い方の要点
- 術前計画 how to
- 骨折分類 2018年に改訂されたAO分類について
- 骨癒合過程
- 絶対的固定 Absolute stability
- 相対的固定 Relative stability
- プレートの機能 how to apply
- ロッキングプレートを用いた骨折治療
- Skills Lab
- 骨幹部骨折の治療原則
- 骨幹部骨折の整復方法
- Discussion
- ドリル,ベンダーの使い方
- ハンズオン1 スクリュー,プレートを用いた絶対的固定
- ハンズオン2 ロッキングプレートを用いた固定
- レセプション
2日目
- ディスカッション
- 関節内骨折のマネジメント
- 関節内骨折の治療原則と整復方法
- 前腕骨折の概略
- ハンズオン3 脛骨骨幹部骨折の髄内釘
- ハンズオン4 脛骨骨幹部骨折の創外固定法
- 橈骨遠位端骨折
- 肘頭,膝蓋骨骨折
- 足関節骨折
- 脛骨高原骨折
- ハンズオン5 肘頭骨折のテンションバンドワイヤリング
- ハンズオン6 外果骨折の1/3円プレート固定
- 大腿骨頚部骨折
- 大腿骨転子部骨折
- 大腿骨遠位骨折
- MIPO法
- 放射線被曝
3日目
- ディスカッション
- 小児骨折の特徴
- インプラント抜去
- 多発外傷の治療戦略
- 骨盤骨折の初期対応
- 開放骨折のマネジメント
- ハンズオン7 大腿骨転子部骨折への髄内釘
- ハンズオン8 骨盤骨折への創外固定
- コンパートメント症候群
- 骨接合後の感染症 診断と治療方法
- 遷延癒合と偽関節
内容がもりだくさんでこれだけみると目眩がしそうですが.
実際にはテンポよく,進行していくので外傷好きであればあきることなく受講できたかなと思います.
しかしスライドの資料がない,テンポが早い.でメモを取る時間がなかなかなく,一から学びたいという人にはおすすめできないかもしれません.
ただこのBasicコースを受講しなければAdvancedやMasterコースを受講できないのも事実です.
ある程度,骨折治療,外傷マネジメントを勉強した人が内容を確認する,次のコースへのステップアップの目的にするというコースかと思いました.