膝関節のロッキング 膝がのばせないことへの対処法
【臨床像】
通常,膝関節損傷の既往歴があり,過去に膝関節がロックすることがあったが,急に膝関節を伸ばすことができなくなることをいいます.
膝関節を曲げることはできるが,伸ばすことができず,軽度から中等度の疼痛がある.
【原因】
膝関節内の構造物が関節内にハマりこむことで起こりえます.
・半月板の断裂
・前十字靭帯の部分的,完全な断裂
・骨軟骨遊離体
・内側滑膜ひだの異常
・異物
・外傷の既往なしに発生することもある.
稀なもの
・膝蓋下脂肪体のねじれ
・関節内腫瘍(ガングリオンetc)
右膝関節:大腿骨を外して前十字靭帯,後十字靭帯,半月板を示しています.
【病態】
上記の構造のうちの1つが脛骨関節面と大腿顆の間に入り込み,関節の伸展を機械的にブロックすることで生じます.
【診察】
・圧痛点
内側関節裂隙,外側関節裂隙など..
・関節液の貯留
関節液が貯留している場合,膝蓋跳動陽性や,Ballottment of patella(+)などと記載します
・半月板断裂(McMurray test)
・関節の安定性(内外反ストレスや前方・後方引き出しテスト)
【検査】
膝関節のX線像を撮り,骨軟骨遊離体やその他の疾患を検索する.
【治療】
疼痛があり,ロッキングが持続していれば,ポピドンヨードで消毒後に膝関節を穿刺します.
局所麻酔薬,1%カルボカインや,0.5%マーカインを10ml関節腔内に注入
麻酔後に踵と足関節の下にタオルを巻いたものを支えとして置く.
患者を仰臥位のままにして,重力が膝関節の伸展を促すようにし,20分間膝のロッキングが外れるまで患者に膝関節を静かに揺らすか,回旋させる.
整復されない場合,McMurray手技を再びそっと行う.
【指示】
整復後は,シーネなど固定装具を装着し,松葉杖を用いて免荷歩行させる.
整形外科へ紹介し,早期にMRI,膝関節鏡検査を検討してもらう.
【Don’t】
膝関節を強い力で徒手整復すること,無理な整復はさらなる関節内損傷を引き起こすことがあるので注意が必要です.