アキレス腱断裂
スポーツ,軽度な外傷を契機に発生するといわれています.
発生の基盤に腱の変性が関与している.とされています.
(Chen et al, Clin Anat. 2009)
アキレス腱は図のような血流支配となっているため,踵骨付着部付近から2−6cmほど近位で断裂が生じやすいとされています.
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長年の議論になっているのが,保存治療と手術治療についてです.
整形外科医の中でも自分のアキレス腱断裂に対して手術を受ける医師,受けない医師とに分かれています.
以前までは短期的には社会復帰が早く,再断裂率は手術の方が低いため
早期社会復帰を希望する場合には手術治療が勧められました.
しかし長期的なoucome(結果)に違いがないといわれているため,整形外科医の間でも保存治療を選択する方も比較的多かったのです.
しかし近年では低侵襲な治療が生み出されており,今後は変わってくるかもしれません.低侵襲な治療については今後紹介していきます.
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1.再断裂の発生頻度
手術療法は1.5~2.2%と少なく,保存療法では10%前後と高頻度であるとされます.
しかし,合併症全体の発生率では手術療法で20%の高率であったとされ,保存療法では9.7%に留まっていたようです.
ある報告では手術療法に関するmajorな合併症(701報告例)は,再手術9例,皮膚欠損6例,瘻孔形成3例,肺炎2例,深部静脈血栓症1例の計21例(3.0%).
ある報告では手術療法に関するmajorな合併症(701報告例)は,再手術9例,皮膚欠損6例,瘻孔形成3例,肺炎2例,深部静脈血栓症1例の計21例(3.0%).
moderateな合併症(701報告例)は,腓腹神経損傷42例,遷延治癒18例,肉芽11例,感染4例の計76例(10.84%)で,minorな合併症(571報告例)は,癒着が99例(17.3%)
一方,保存療法(248報告例)のmajorな合併症は,深部静脈血栓症4例,過延長2例,肺炎1例の計7例(2.8%)
moderateな合併症は,腓腹神経損傷1例(0.4%), minorな合併症が癒着2例(0.8%)であったとされます.
皆さんも急なスポーツ活動ではアキレス腱断裂に注意してください.