日本整形外科学会広報室ニュース 第114号 H30.07.15
平成30年度診療報酬改定結果が官報に掲示されたため,整形外科関連の抜粋記事が掲載されました.
診療報酬算定や今後の業務に関連する内容なので是非参照してください.
自分に関連するトピックとして
1.一時的創外固定骨折治療術が算定されたこと.
2.関節鏡下靭帯断裂形成手術(十字靭帯)+関節鏡下半月板切除術または半月板縫合術の複数算定が認可されたことでしょうか.
(Chen et al, Clin Anat. 2009)
アキレス腱は図のような血流支配となっているため,踵骨付着部付近から2−6cmほど近位で断裂が生じやすいとされています.
一般的に気管切開術は耳鼻咽喉科や脳外科などが行う手術かもしれません.
しかし整形外科疾患の方でも気管切開術を要する方はいます.
のようにあるんです,地域柄,患者さんのニーズ
そして手技といえばやれない訳にはいかない.
もちろん命に直結する手術なので,他科と合同して行います.
外科的緊急気道確保
輪状甲状靭帯穿刺
このような緊急の状況では誰かできる人がやれなければいけません.
今回は喀痰多量の方に対して,適応は↓のスライドが大変参考になりました.
http://japan-coma-society.com/wp-content/uploads/2016/08/c749a3dec4dc3498b55346005a1a7e57.pdf
頻度の多い外傷である,指の怪我.
指尖損傷,爪損傷について解説しています.
受傷機転・時間,年齢,既往,内服薬などに加えて職業,利き手を聴取します.
受傷後のその人の日常生活をイメージします.
理学所見:損傷部位,合併する神経,腱,血管障害の有無を調べます.
画像診断:損傷の程度や受傷機転で骨折を疑う際には単純X線写真を撮影して,骨折の有無を調べます.
1.汚染の状況
土壌,汚染水などに接触している際や,実際に異物がある場合や,
犬,猫,ヒトの咬創などの際には汚染があります.
十分に洗浄して,抗菌薬の投与は破傷風トキソイドを検討します.
破傷風トキソイドの適応はリンク記事を参照してください.
2.損傷レベル,程度
指尖損傷ではZone分類を用いて,場所の把握を行います.
損傷部位で治療方針が異なってくるためです
3.末節骨骨折の有無
骨折の有無によって,シーネ固定やbuddy tapingなどの固定が必要になるかどうかの方針が変わります.
切創では不要と思いますが,指をぶつけた,挟んだなどの受傷機転では骨折を否定するために単純X線写真を検討してください.
4.爪の損傷の程度
爪の損傷,破壊の程度を確認します.よっぽど損傷がひどい際以外は,爪床に戻すことができないか考えましょう.
「整形外科医のブログ」の先生も爪温存の重要性を紹介しています.
以下の際には整形外科コンサルテーション検討します.
1.→高度の汚染.高圧注入損傷など
感染の危険性,軟部組織損傷による壊死の可能性があります.
2.→指尖切断,高度の挫滅
指の再接着術や断端形成の必要性が生じます.
3.→末節骨骨折+爪脱臼,損傷など開放骨折を疑うとき
開放骨折の場合には初期に整形外科に依頼しておいた方が無難です.
このあたりは施設によって異なるので,確認しておきましょう.
コンサルトは端的に患者背景と疑う病名,対処してほしい旨を説明しましょう.
一般的な事項は他に譲ります.
爪脱臼を整復して縫合してdressingを行います.
開放骨折なら十分な洗浄をして爪整復を行い,必要であればK-wireを用いて骨接合を行います.
抜爪せず,爪甲のみ縫合またはテープ固定
爪床の損傷を疑う場合には爪甲を剥離して7−0吸収糸で縫合を行い,剥離した爪甲は汚染がなければ元の位置に戻し,シラー法(Schiller法)で縫合して爪をシーネとして使用します.
Reference
澤泉卓哉,今日の整形外科治療指針第7版. pp503-504
結論から書きます
“●●に骨折があると思います,宜しくお願いします.”
救急外来における整形外科コンサルテーションは上記で終了です.笑
逆に,内科的なコンサルテーション.
いわゆる,“病歴はこうこうで,こういう所見があって,こういった鑑別も考えたのですが,こうかと思いましたので一度先生に御高診をお願い致します.”
というものは一切不要です.(私見)
もちろん
病歴
いつ,どこで,どういう状況で,何をしている時に発症(受傷)
所見
歩行できる,圧痛部位は,変形,腫脹,神経・感覚障害の有無
画像
単純X線写真,迷ったらCT検査
をやるのは必須です.しかし,それを一から十まで電話で伝えなくていいです.
感覚障害,神経障害,開放骨折,脱臼があれば,伝えればいいです.
なぜか
①整形外科医は基本的に忙しい
②体育会系,短気が多い
③自分で画像をみた方が早い.
などなどの理由があります.
なので遠慮せずコンサルテーションしてください.
その際,最低限の骨の名称,部位などは伝えるようにしましょう.
コンサルテーションテンプレートです.電話の際はこれを簡略化してください.
連日暑い日が続いております.
本日は外傷シリーズ
舟状骨骨折についてです.
【舟状骨の解剖】
【診察】
手の外傷の際には,一般的な診察に加えてsnuff boxという嗅ぎタバコ窩と呼ばれる部分の圧痛をみてください.
圧痛があれば,舟状骨骨折を疑って単純X線をみましょう.
【画像】
単純X線写真では通常の手関節写真では分かりづらく,尺屈して撮影することがポイントです.
最大尺屈位での撮影で骨折線が明瞭になります.
舟状骨の血行は末梢から中枢に向かうので,骨折すると中枢骨片の血行は不良になる.
【分類】
【治療】
適切な治療が行われないと偽関節に陥るため骨折線が明瞭な場合は手術適応です.
手術画像については下記リンクがイメージしやすいと思います.