今回は鎖骨遠位端骨折についてです。
分類はCraig分類です
治療は菱形靭帯や円錐靭帯の損傷程度で判断されます
鎖骨周辺の解剖
肩鎖関節で鎖骨と連結し、烏口突起からの円錐靭帯、菱形靭帯、烏口肩峰靭帯で安定化されており、菱形靭帯、円錐靭帯は烏口鎖骨靭帯と呼ばれます
ー烏口肩峰靭帯は鎖骨遠位から6mmの部分に付着します。
ー菱形靭帯は鎖骨遠位から2cmの部分に付着します。
ー円錐靭帯は鎖骨遠位から4cmの部分に付着します。
Craig-田久保分類
Craig-田久保分類は鎖骨遠位端骨折の分類です。
分類に応じて治療方法が選択され、TypeⅡ、Ⅳ、Ⅴで手術治療が選択される可能性があります。
治療
保存治療:2-4wはROM制限した三角巾固定。
手術治療ではフックプレートや鎖骨遠位端用のアナトミカルプレートが一般的です。
遠位の骨片が非常に小さい場合はフックプレートの使用が一般的です。
しかし、フックプレートは抜釘まで肩の挙上制限が必要なこと、肩峰の骨溶解が危惧されますし、遠位鎖骨が粉砕している場合には制動性が危惧されます。
また安静度が保てない症例などには強固な固定が必要な場合もあるので、フックプレート+Zip tightの併用は強固な固定が可能で有用です。
断裂した烏口鎖骨靭帯を形成する手術を併用することで固定性はかなり良好と考えられました。
鎖骨ー烏口突起間をスクリューで固定するBosworth法と同様の方法で、抜釘不要というメリットがあると思われます。
手術のポイント
関節鏡下に烏口突起を確認してガイドを用いて行う方法も提唱されています。
しかし、鎖骨骨折自体は関節内骨折ではないので、関節外のみの鏡視で関節鏡を使うのはあまりリーズナブルではないと思っています。
実体験として、手技自体は鏡視も不要で,透視のみで一回の刺入で可能でした.
肩甲骨間に枕をいれて健側に少し体を傾けるようなビーチチェア位とします。正面で鎖骨からの刺入点を確認し、Yビューで烏口突起を正確に描写して角度を調節してワイヤーを刺入します。
関節鏡の使用が難しい場合には、検討いただいていい方法かと思います。