Akagi line TKAにおける脛骨側の指標
〜脛骨回旋指標についてのまとめ〜
2022年12月10日 改訂3版
Akagi lineとは
TKAにおける脛骨コンポーネントの回旋についての指標
・脛骨の骨切りは脛骨の機能軸に対して垂直に骨切りを行います.
・脛骨コンポーネントの回旋位設置は良好な膝蓋骨のトラッキング,大腿骨コンポーネントとのrotational mismatchの予防の意味で重要です.
・その際の回旋の指標がAkagi lineと命名されています.
脛骨コンポーネント設置における脛骨回旋について
・従来,脛骨粗面の内側1/3からPCL付着部を結ぶ線が,前後軸の指標として用いられてきました.
・2005年にAkagiらがVariability of extraarticular tibial rotation references for total knee arthroplasty.(Clin Orthop Relat Res. 2005 Jul;(436):172-6)で報告したAkagi lineは脛骨粗面の膝蓋腱付着部内側縁とPCL付着部を結ぶ線で,SEAと直行する再現性が高い前後軸と報告しています.
・脛骨外旋について過外旋もよくないが内旋位設置は成績不良のためAkagi lineより内側設置とならないように注意する必要があります.
下の黄色線が従来のPCL−1/3TT(脛骨結節)で,Akagi lineは白線となっております.
(Ann Transl Med. 2016 Jan; 4(1): 3.)
・Akagi lineより内旋でコンポーネントを設置すると,脛骨後傾の分だけ外側が予定より深く骨切りされ,外反位になる危険性があります.
・外旋位設置ではその逆で内側が予定より深く骨切りされる可能性があります.
Berger法
・Bergerらが1998年に報告した方法です.
・van Houtenらは,脛骨回旋については最も信頼性が高いと報告しています.(van Houten AH et al, The Knee. 2018)
(Berger R et al, Clin Orthop Relat Res. 1998)
Mayo法
・脛骨結節内側中央1/3と脛骨の幾何学的中心を結ぶ線です.
(Roper GE et al, J Arthroplasty. 2013)
Insall ライン
・後十字靱帯付着部と脛骨結節内側中央3分の1の交点を結ぶ線.
・図のMTT(medial third of the tibial tubercle)となります.
(Nam, JH et al, Sci Rep. 2020)
・Berger法と比較して,Mayo法やInsallラインはばらつきが小さく(7.8±1.0度および5.1±2.2度),内旋誤差の可能性が低かったと報告された論文もあります(0.7%および1.8%).(Jang ES, et al. The Journal of Bone & Joint Surgery. 2022)
・さまざまな回旋アライメントが報告されていますので,自分の中の指標を作って,術中に複数回確認する必要があります.